引き伸ばしプリント[暗室を作ろう編]
2004年4月9日作成
2004年5月23日「明るい暗室」追記
印画紙は特定の光(安全光)以外に反応して使えなくなってしまいます(カブルとかカブリが出るとか言います)。引き伸ばしプリント作業を行うには、光が入らない暗い場所、暗室が必要になります。専用の暗室を作る(持つ)のが一番良いのですが、住宅事情を考えるとなかなか難しい物があります。そこで簡易暗室となるわけですが…

1.簡易暗室に必要な条件は…
(1)暗いこと または、暗くできる事。雨戸を閉め切って、なおかつ暗幕をうまく使えば何とかなると思います。

(2)電源コンセントがあること 引き伸ばし機、暗室ライト(安全光)などは電源(100V)が必要です。

(3)台があること 引き伸ばし機、パットなどを置くスペース、台が必要です。なければ床に直接置いて…って、すごく作業しづらいし、安全光って結構暗いので足下が危ないですね。できればちょっと腰を掛ける物、イスとかあると完璧です。

(4)濡れてもいいこと 万が一現像液をこぼしても大丈夫ならOK。まぁ、床にビニールシートとか敷けばいいですけど。

(5)換気扇があること 停止液、定着液など独特な臭いがしますので、換気扇があるといいです。なければ、30分とかに一度空気の入れ換えをします。

(6)水の便がいいこと 薬品の準備、印画紙の水洗いなど結構大量に水を使いますので、水道の蛇口、排水施設があると便利です。
※水洗いは明るい場所で行っても大丈夫なので、絶対必要っていう訳ではないです。
(7)印画紙を乾燥させるスペースがあること 自然乾燥の場合、洗濯挟みで挟んでつるせるスペースが必要。

(8)時計があること 暗室作業中は結構時間を忘れて没頭したりします。腕時計、目覚まし時計など何でも良いです。

ざっと考えて、こんな感じになると思います。
上の条件に照らし合わせると…台所、お風呂場などが候補になりますね。書斎、押入っていうのも候補に挙がると思いますが、あんまりお勧めしません。特に押入は狭い上に布団とかも入ってたりすると、臭いが染みついちゃって大変だと思います。
ということで、私は全ての条件が揃う(と思われる)お風呂場。ここに簡易暗室を作っています。
2.お風呂場暗室の実体
うちはマンションで、洗面兼脱衣場とお風呂場(ユニットバス)がちょうど部屋の中心くらいに位置していて窓もありませんので、洗面所のドアを閉めれば昼間でも暗くなります。実際には換気用にドアの下側に少し隙間があり光が少し漏れますので、外からドア一面に暗幕を掛けるようにしています。

お風呂場だからもちろん水道もありますしお湯も出る。排水もばっちり。換気扇もあるし、洗面兼脱衣所にはコンセント。条件的にほぼ完璧ですがいくつか問題が…。
・お風呂を使うときは暗室作業ができません。(^^ゞ。これはしょうがないですね。休日の昼間かお風呂を使い終わった夜(深夜?湿気が抜けてから)に密かに作業しましょう。
・引き伸ばし機やパットなどを保管しておくペースがない
脱衣所兼洗面所って狭いんです。洗濯機とか置いてあるし…。暗室にするときだけ部屋から一式持ち込みです。良かったです、比較的軽い引き伸ばし機で。(^^ゞ

3.レイアウト
いくつかバリエーションが考えられると思いますが、私がやってみた2パターンを紹介します。
パターン1...湯船の蓋に一式並べる。
機材の配置パターン1 向かって左端が水道の蛇口、左下が排水なので、左から定着、その上が停止、右が現像、一番右に引き伸ばし機一式。作業は右から順番に露光、現像、停止、定着の順に進みます。水洗いは左端の下にパットを置いてます。パットの小さいカビネサイズならこれでいけます。コンセントは洗面兼脱衣所の壁にあるので延長コードで引いています。浴室の床をはわすと感電のおそれがあるので、必ず床から離しておきます。暗室電球(安全光)は湯船の中心、真上に来るように吊していますので、比較的明るく作業できます。

※写真では引き伸ばし機、パット類を直接お風呂の蓋に置いていますが、適当な板を敷いた方がいいと思います。
パターン2...引き伸ばし機は洗面台、パット類は湯船の蓋の上に並べる。
パターン2...引伸し機位置カビネサイズの場合のバット六つ切りサイズのバット
洗面台に適当な板を敷いてその上に引き伸ばし機一式をセットします。パット類はパターン1と同じレイアウト。これなら四切りパットがなんとか3枚並びます。水周りから引き伸ばし機関係、電源も離すことができますのでいいのですが、暗室電球が1つしかないので引き伸ばし機近辺にぶら下げると浴室が暗くなってしまいます。
※写真中央はカビネ版の場合。右端は六つ切りの場合です。二重バットの外側の大きい方は四つ切り用のバットです。
パターン1,2共通として…

浴室の床に「すのこ」などを敷いておくと濡れなくて済みます。私は小型(2段)の脚立を置いています。パターン2で露光が済んだら印画紙とキッチンタイマーをもって脚立に移動。現像から水洗いまで脚立の上です。ちなみにキッチンタイマーは裏に磁石がついているので、定着が始まったら引き伸ばし機のヘッドにくっつけてます。

注意!! ネガ、未使用の印画紙などは水に弱いです。水廻りからなるべく離してください。私はプラスチックの箱(不透明な物)に入れて蓋をしておき、使うときだけ(安全光の下で)蓋を開けて取り出すようにしています。
最近はパターン2が多いですね。
工夫次第で何とかなるもんです。みなさんも自分だけの暗室を作ってください。
※明るい暗室...(番外編)
あ、明るい... 機材編でご紹介した「セーフティライト」を設置してみました。ハッキリ言って明るいです。親子電球(の明るい方)の比じゃありません。
こんなに明るいなんて...印画紙への影響(かぶり)は大丈夫か? と言う事で設置してすぐにかぶりのテスト(イルフォードの多階調印画紙を1分刻みに5分間放置)してみましたが、まったくかぶり無し!。少なくても5分間は大丈夫なようです。
親子電球はバットの上に移動させました。こっちは露光中も点灯させたまま。現像、定着中も以前と比べて明るいです。

明るいと何が良いって...作業しやすいですよ。薄暗い中にいるより気分もいいし。(^^)v
印画紙かぶりさえでなければOK。なるべく明るい暗室で気分よく作業しましょう。

※デジカメで撮るとものすごく明るく写りますが、実際はこんなに明るくないですよ。

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