現像タンクによるモノクロフィルムの現像(現像編)
2004年2月7日作成
2004年2月17日写真追加
2004年5月23日ステンレスタンク追加
前準備も整いました。いよいよモノクロフィルムの現像のお話です。
私が普段やってるやり方(ほぼマニュアル通りだと思いますけど…)を書きますが、これが正解ってわけではなく人によってやり方は色々だと思います。参考程度にお読みいただき、自分のやり方で現像してください。
現像作業は、前浴→現像→現像停止→定着→水洗い(予備洗い→水洗い促進→本洗い)→乾燥の手順になります。この手順とそれぞれの作業時間をよく把握しておいてください。では始めましょう。
☆☆☆ 現像手順 ☆☆☆
(1)前浴
撹拌
前浴用の水を現像タンクに注ぎ込みます。全て注ぎ込んだら、現像タンクの底をとんとんと軽く叩いて(フィルムに付いているであろう)泡を落としてから、30秒程度撹拌します。撹拌の方法は、現像タンクの注ぎ込み口に撹拌棒をつっこんで左または右にぐりぐり回すだけです。撹拌棒を回すと中のリールも回転し、さらに回転するときに少し上下しますので、上下方向にの一緒に撹拌されます。現像、定着なども同じ方法で撹拌します。自分はどっちの方向に回すのか決めておいて、常にその方向、スピードで撹拌するといいと思います。
※撹拌の仕方は、現像、現像停止、定着全て同じ方法です。

30秒経ったら水洗い用タイマーを止めて(今じゃなくても良いですけど、リセットもお忘れなく。現像の停止行程で使います)現像タンクから前浴用の水を全て排水(水は捨てます)します。
※ステンレスタンクでの撹拌 ステンレスタンクの場合は、一般的には天地を引っくり返すやり方で撹拌します。
※前浴、現像、停止、定着とも同じ方法で撹拌します。
ステンレスタンク撹拌1ステンレスタンク撹拌2上からむんずとつかんで...引っくり返す
処理液挿入/排出用の小さなキャップが外れないように押さえながら、天地を引っくり返す動作を数回繰り返した後、タンクのそこを数回たたいてフィルム面に付着している(かもしれない)気泡を取ります。
※ステンレスタンクの場合外気温の影響を結構受けますから、右2枚の写真のように「上からムンズ」と持った方が手のぬくもりが伝わりにくいと思います。
※処理液が少しもれる事もありますが、光はもれないので大丈夫です。
[注意]くれぐれも蓋が外れて中身(フィルムを巻いたリール)がでないように注意してください。
(2)現像
現像液を現像タンクに注ぎ込みます。全て注ぎ込んだら現像タンクの底をとんとんと軽く叩いてから、(初期)撹拌を1分間。50秒そのままにして置いて、10秒撹拌。50秒おいてから10秒撹拌を時間まで繰り返します。現像時間が過ぎたら現像液を排水します。通常は現像液の入っていたメスカップに排水(まだ使えますから)しますが、稀少現像の時は再利用できませんのでそのまま捨てます。
※現像時間が(3分程度と)短い場合などは、30秒毎に5秒撹拌します。ちなみに...撹拌回数が多いとコントラストが若干強めに仕上がるようです。
(3)現像停止 現像液を排水したら、素早く停止液を全て注ぎ30秒程度撹拌、排水します(停止液は再利用しませんので、そのまま捨てます)。
(4)定着 定着液を現像タンクに注ぎ込みます。全て注ぎ込んだら、現像タンクの底をとんとんと軽く叩いてから、(初期)撹拌を1分間。50秒そのままにして置いて、10秒撹拌。50秒おいて10秒撹拌を時間まで繰り返します。定着時間が過ぎたら定着液を排水します(再利用できますので、定着液が入っていたメスカップに排水します)。
(5)フィルムの確認 ここまで来たらフィルムがネガになっているはずなので、現像タンクの蓋を開けてフィルムを確認します。フィルムが透明っぽくなっていなかったら定着不足なので、もう一度定着を行います(5分程度)。それでもダメなら…残念ながらあきらめましょう。
(今のところ定着不良による失敗は無いです)
(6)水洗い
予備水洗い
予備水洗い(30秒)

水洗い促進剤浴(1分)
蓋を開けた現像タンクに水道水を流しながら水洗いします。水洗い促進剤(富士QW)を使わない場合は、そのまま30分以上水を(少し)流しながら置いておきます。水洗い促進剤を使い場合は、予備水洗い30秒、フィルム・リールの水をよく切ってから水洗い促進剤に1分、本水洗いを(水を流しながら)5分以上です。水洗い中にリールからフィルムを外してもかまいませんが、フィルム同士がこすれて傷が付かないように気を付けましょう。また水洗い中に写真用スポンジ等でフィルムを洗っても良いですが、フィルムを傷つけないように注意してください。

水切り剤(ドライウェル)を使う場合は、水洗い後30秒ほど浸けておきます。

本水洗い水切り剤(ドライウェル)浴
写真左、本水洗い(5分以上) ... 写真右、ドライウェル浴(30秒)

(7)乾燥
フィルムクリップ
スポンジによる水切り
フィルムの両端にフィルムクリップを取り付け、水をよく切ってからぶら下げ乾燥させます。
水玉が付いたまま乾燥させると跡が残ってしまいますので、水滴はよく切ってください。写真用スポンジ2個(1個を半分に切ってもいいです)を水を含ませたあと(手のひらで押すような感じで)絞って八の字型に合わせて、合わせ面でフィルムを挟み上から下に滑らして水を拭ってください。フィルムワイパーを使って上から下に水滴を切っても良いです。どちらにしてもフィルムを傷つけないように注意してください。

水切り剤(ドライウェル)を使った場合は、そのまま乾燥させても良いですが、スポンジ等で水滴を拭った方が早く乾燥します。
なるべく埃などの少ない場所で、無風、直射日光のあたらないできれば薄暗い場所がいいです。15分くらいで乾いたように見えますが、できれば1〜2時間位乾かしてください。

※24枚撮りで約1メートル、36枚撮りだと1.5メートルほどの長さになりますので、吊るす場所を先に考えておいてください。

(8)後かたづけ
機材・薬品一式
現像機材・薬品一式。
現像液(稀少現像でないもの)、定着液、水洗い促進剤、水切り剤は再利用できます(回数、作ってからの貯蔵期間により限度がありますが)ので、それぞれの貯蔵タンク(ボトル)に戻しておきます。使ったメスカップ、液温計、現像タンク、リールなどはよく水洗いして乾かして片づけます。特にリールは水滴をよく切って、よく乾燥させてください。濡れたまま使うとフィルムがスムーズに巻き込めなくなります。

それぞれの薬品の使用回数を記録しておくことを忘れずに。
(9)フィルム(ネガ)の整理
現像済みのネガの切れ端
乾燥が終わったら、6駒づつ切ってネガシートに入れておきます。

できれば現像データ(現像液、現像時間など)を記録しておくと良いでしょう。ネガの切れ端(先頭方向から1駒目の手前まで)を取っておくと、何も移っていない部分がどの程度透明になっているかによって、次に現像したときの現像具合が確認できます。
まとめ
簡単に書くつもりが、ずいぶん長くなってしまいました。少しでも参考になれば良いですが…

モノクロフィルムの現像は難しそうですが、やってみると結構簡単にできます。自分で撮った写真(フィルム)を自分で現像、はじめは失敗するかもしれませんが、結構楽しいですよ。お金(初期投資)もそんなにかからないので興味のある方はぜひチャレンジしてください。
ちなみにモノクロの楽しみ・魅力って、自家現像までで50%位だと思っています。では残りの50%は…自家焼き。紙に焼いてこそ本当のモノクローム写真の完成と言えると思います。ただし、引き延ばし器などそれなりの(比較的高価な)機材、それなりの広さの場所、それなりの知識などが必要になり、私のような初心者にはちょっと敷居が高いかな? 

今は現像済みのネガをスキャナでパソコンに取り込んで楽しんでいます。デジタルデータになってしまえば、画像処理の世界なので露出などの調整、覆い焼きとかの暗室テクニックも簡単にでき、プリンタで印刷すれば写真の完成になります(本当の意味でのモノクローム写真とは違うと思いますが…)。今のところは、まずモノクロでの撮影と自家現像。自家焼きはいつかぜひチャレンジしたいと思ってます。
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